一目惚れ（3）

三、あれから二週間程たった頃、週刊誌やＴＶで早瀬修一郎不倫か？などと騒いでいたが、そりゃ有名人だからそんな事もあるだろうと思っていたら、啓介からLINEで「おい知ってるか、早瀬の奴、加奈と不倫してたって、それで加奈は自殺をしたんだって、ただまだ生きてて意識不明の重体だと」突然の事でよく判らなくて、「何が、早瀬が加奈と自殺した？」「何を言っとる、加奈が自殺で重体や」「どうして」「だから不倫や、付き合っていたみたいや」「なんで」訳のわからん繰り返しで頭が真っ白「バカー」啓介が怒鳴った、「ちゃんと聞け、加奈が死にかけとるんや、東京女子医大病院に入院しているから、早く行け、大江戸線の若松河田駅から行くんだぞ、わかったか」「うん、わかった」といって何もわかってないけど、出かけなきゃ、早く行かなきゃ、加奈が死んじゃう、加奈が、涙がボロボロこぼれてわけ判んないけど電車に乗らなけりゃ。

　病院に着いても家族じゃないから、面会謝絶。それに週刊誌ネタだからそれらしいのがうろうろしてとても近づけない、とその時手を引っ張られ振り向くと怒った顔の女性が睨んでいて「あなた啓介の友達でしょう、加奈が逢いたがっているから、早くこちらへ」病棟を抜け集中治療室に入りマスクやら点滴のチュウブの中に加奈がいた。

　眠っていたようだが僕に気が付いたのか薄く眼を開け、笑顔になり少し口を動かして身体を起こそうとして動かないのに気が付き泣きそうな表情になる、僕は何も言えず手を握ると強く握り返してまた加奈は泣きそうな顔になった。