むしきらい

みんなは好き

一目惚れ(4)

 どうしてここにいるのか覚えてないけど早瀬修一郎の自宅前に居た、2台ほどの車に、週刊誌かTVの記者が様子を伺って居るようで、後はもの静かな高級住宅街のたたずまいの中、僕はインターホンを押す、中から若い女性の声で「どちら様でしょうか」「僕は加奈の友人です、少しお話をお聞きしたいですがよろしいでしょうか」単刀直入に言いました。するとしばらくして男の声で「どうぞお入り下さい」。

 いかにも高級そうな家具に囲まれて、日焼けした野性的な男性が座っています「私が早瀬です、加奈さんには少し困りました。ところであなたとの関係は」僕は何も言わなくてただ睨みつけていました。

 そこに先ほどの若い女性がコーヒーを持って入ってきました「どうぞ、先ほどは失礼しました」僕は事情がよく判らなく彼女の顔を見つめていると「本当にごめんなさい、加奈は私の親友で父がそういう事です、私は絶対に許さないけど、加奈を一人にしたのがいけなかったんです、まさか父が私の親友に手を出すなんて考えもしなかったから、ごめんなさい」。

 彼女が自分の部屋に招き、さあ何でも聞いてと言うから「どうして自殺なんかしたのですか、綾奈さん何があったんですか」思わず詰問する僕に「それがね、貴方のせいなの」下を向いて言いにくそうに「加奈は貴方に一目惚れしたそうです、もうどうしてよいのか分からなくなり、SNSで不倫の事を書いたらしいのね、そうしたら大炎上してぼろくそに言われて挙句に、早瀬の名を汚す売名行為のクソ、死ね、ゴミクズ、そしてさらにマスコミに嗅ぎつけられて、いく先々である事ない事言われ、もうどこにも行き場がなくなって、私にも貴方にも相談できず精神的におかしくなっり、それで薬を飲んだみたい」。