むしきらい

みんなは好き

一目惚れ(2)

 二、梅雨の先走りも消え緑鮮やかな快晴に恵まれた日曜日の朝、待ち合わせの代々木公園の駅に来ると、もうすでに藤色のさわやかな花が咲いているかのようなあなたがいます。僕はなんだか恥ずかしくて遠くから見つめていますと、視線に気が付いたのか大きく手を振り嬉しそうに笑っています。なんだかとても幸せな気分で思わず駆け寄り抱きしめたくなりました。

 鎌倉へ行く前に、大学まで戻り友人達と合流し、東横線に乗って早瀬修一郎展、会場前に着きました。友人達は彼女に遠慮して集合場所と時間を言うとさっさと行ってしまい僕たちは二人取り残され、お互い顔を見合わせ思わず笑って「じゃ行きましょうか」

 さすがに今一番人気のある展覧会だけあって、人出もすごく、くっつかないと歩けないほどで、彼女の体温が焼けるように熱く感じられ、僕が溶けてしまうんじゃないかと思われ作品の事など頭のどこにもない有様です。なのにあなたは嬉しそうに一つ一つの作品を僕に説明して、どうなのというまなざしで問いかける。

 集合の時間に遅れそうになり、彼女の手をひっぱり走って行くと、友人達の伝言が紙に書いて貼ってあり「俺たち先に行くからごゆっくり」

 カフェの店内はスロージャズが流れ落ち着いた雰囲気で、彼女はミントフレバーを僕はアイスを注文のどを潤し、しばらくはお互いを見つめて静かに時のたつのを待ち、やがてどちらからともなく微笑み小さくため息をつく。素晴らしい作品の感動なのか、それとも